スワッチの曹友英会話 CLUB

Lesson 106 スピーチ・クリニック

● 1 はじめに

 筆者がスピーチ・クリニックという言葉を初めて聞いたのは、30余年前に調査学校(現小平学校)の陸曹上級英語課程の入校中でした。週l度実施される米国人講師(横田米軍基地の空軍将校夫人)がウィスコンシン大学でスピーチ・クリニツクを専攻しており、「スピーチ・クリニック」の概要を説明してくれました。米国人の大学生でも「話し方の訓練をする必要がある」。 (注1)との話は、日から鱗が落ちるような衝撃でした。英語は覚えるだけではなく、話し方の訓練と心理学が必要だと確信し、本誌の原稿を書きながら、スピーチ・クリニツクのプログラムを作成し、桧町、那覇、市ヶ谷駐屯地における曹友会の協力で20年近く教育プログラムを実施しながら、改善をしてきました。最終的に、小平校の英語教官・課程主任として課程教育にスピーチ・クリニックプログラムを組み込み成果を上げることができました(現在はありません)。
 今回はその概要を紹介します。

注1:The university of Wisconsin

● 2 なぜ英語が話せない?

 一生懸命に英語を勉強するけれども、英語が話せるようにならない。英語が外国人に通じなくてやる気をなくした人も多いはず。なぜ英語が話せるようにならないのでしょうか?

 

 日本人の英語教育には、話すための訓練がプログラム化されていないことが原因です。英語は、党えれば話せるのではなく、ウィスコンシン大学のスピーチ・クリニックでするように、「英語の話し方の訓練」をしなければならないのです。

● 3 3つの訓練要素

 英語を話せるようになるためには、3つの訓練の要一素が必要です。それらを頭で覚えるだけではなく、訓練して能力を向上させることです。
(1) 英語を発音するための筋力向上(筋卜レ)
(2) 英語の音の変化を覚える(正しい音)
(3)コミュニケーション能力・技術の向上
の3点です。

(1) 英語を発音するための筋力向上(筋トレ)

 筋トレといっても、体の筋肉を大きくする訳ではありません。顔の筋肉、特に唇を動かす筋肉群、そして舌を自在に動かせるようにすることです。
 そのための第一は、正確に舌の位置を覚えること。例えば、「L」の発音は、完全に舌が作り出す音です。舌を上下させるときに出る音なのですが、文章で書いても理解できませんね。スピーチ・クリニックでは、下のイラストのように、舌が口蓋(口の中)のどの位置に接触するかを、個人ごとに見つけることから始めます。舌と口の中で接触するポイントが分かれば、Lの発音は、すぐに正しく発音することができます。

(2) 英語の音の変化を覚える(正しい音)

 英語の発音記号をカタカナで書いて覚えると、まったく通じない英語をインプットする(覚える)ことになります。ですから、いくら完壁に英語を話したつもりでも通じません。そこには、英語の音は変化するということを理解しなければいけません。
例えば、beautiful(美しい)という単語があります。この単語の発音は「ビューティフル」でしょうか、それとも「ビューティフォ」でしょうか?

 「フル」から「フォ-」への変化を音便化といいます。ほかにもワンダフル→ワンダフォーなどがあります。
 このような音の変化を理解し、変化した音を覚えることが通じる英語の大切なポイントです。

(3) コミュニケーション能力・技術の向上

 通じる英語を話すことができる人には共通点があります。それは自分のことを相手に知ってもらおうという要求が強いこと。つまり相手に自分の考えを伝えようとする意思があることです。これをコミュニケーション能力といいます。コミュニケーションができないのは英語だけに限らず、どのような言語でもあり、個人差があります。しかし、それは生まれついたものだけでなく、訓練し、妓術を磨き、獲得する能力なのです。

● 4 おわりに

 スピーチ・クリニックは、英語上達のための非常に有効な訓練方法です。機会があれば、皆さんと実際に訓練をしてみたいと思っています。インターネットによる訓練法の公開なども計画しています。ご期待下さい。