マナー学

喫煙のマナー

 喫煙者にとって一服は至福のひとときですが、その一方で望まない受動喫煙で困っている人がいるのも事実です。たばこの煙は、吸う人が直接吸い込む「主流煙」と、火の付いた先から立ち上る「副流煙」に分かれます。この副流煙を自分の意思とは関係なく吸い込んでしまうことを「受動喫煙」といいます。

 皆さんは、平成三十年七月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、令和三年四月一日より全面施行されたのをご存じですか? これは望まない受動喫煙をなくすための取り組みがマナーからルールへと変わったことを意味しています。ルールは大きく、「屋内の原則禁煙」、「喫煙室設置」、「喫煙室への標識掲示義務付け」、「二十歳未満の喫煙エリアへの立入禁止」の四つが定められました。

NGな行動

■ 歩きたばこ
 たばこを吸わない方の中には、「歩きたばこ」で不快な思いをしたことがある人がいるのではないでしょうか。歩きたばこは、炎が衣服や皮膚に接触する恐れがあるなどの物理的な危険があり、また数多くの有害物質がもたらす健康上のリスクを歩行者に強要することになります。
 例えば、前を歩く人が喫煙した場合、後ろを歩く人は煙を吸わされ続けることになります。歩きながらの喫煙は煙を後ろに残すので、喫煙者本人は気になりませんが、後ろの人にとっては迷惑行為になります。
 また、歩きたばこをしている際、大人が手に持ったときのたばこの高さは小さな子どもの目線や顔と同じくらいになります。子どもが気付かずに当たってしまった場合、失明してしまったり、顔に火傷を負ってしまったりと非常に危険です。
■ 吸い殻のポイ捨て
 道を歩いているとき、吸い殻が落ちている光景を目にしたことはありませんか? 根本的にポイ捨ては法律違反であり、さまざまな法律によって禁止されているため罰せられる行為です。
 例えば、たばこの吸い殻をポイ捨てすることは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によって「五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金、またはこれを併科する」とされています。また、たばこの吸殻を側溝に捨てることは、「軽犯罪法」によって「拘留は一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。科料は千円以上一万円未満とする」とされています。
■ たばこの臭い移り
 皆さんは飲食店で食事をしているときや職場で勤務しているとき、また電車で座っているときなど、「たばこ臭い」と感じたことはありませんか?
 喫煙は吸っているときのマナーや吸い殻の始末のマナーも大切ですが、吸ったあとの臭いでも周囲の人を不快にさせることがあります。たばこを吸う人ほど自身の匂いは分からないものですが、周りの人に不快な思いをさせないよう念入りに臭い対策をしましょう。
 例えば、たばこの臭い対策用の消臭スプレーや口臭対策で販売されているブレスケアやタブレットなどを常備しておくのが良いでしょう。
 また、吸ったあとにすぐ手を洗う、歯磨きをするといった行動も効果的です。洗う場所がない場合は除菌用のウエットティッシュなどで拭いたり、歯磨きできない場合は口をゆすぐだけでも効果があります。

注意が必要な行動

■ ベランダでの喫煙
 皆さんはベランダで喫煙している人を見たことがありますか? また喫煙者の方はベランダで吸ったことはありませんか? 四月に全面施行された改正健康増進法では、職場や飲食店などは原則禁煙となりましたが、住宅は規制対象に入っていないため、ベランダでの喫煙行為は規制されていません。しかし、このベランダ喫煙については入居者同士がトラブルになりやすく、多くの集合住宅で苦情の原因となっているため注意が必要です。
 ベランダでの喫煙には、「悪臭」「受動喫煙」「火災のリスク」と主に三つの問題があります。特に問題なのは悪臭です。隣家や上階のベランダで洗濯物を干しているとたばこの煙が漂ってきて洗濯物に臭いがついてしまった、窓を開けていると部屋がたばこ臭くなったなどの苦情が多く寄せられているそうです。ベランダでの喫煙は、マンションや集合住宅などの規約によって禁止されている場合もありますので、喫煙者も非喫煙者も一度確認してみると良いでしょう。
■ 携帯灰皿の活用
 喫煙者の方は携帯灰皿を所持していますか? もちろん携帯灰皿さえあれば、どこでも喫煙していいわけではありませんが、社会人として携帯灰皿を常備しておくことをお勧めします。